骨折したら以前より人の痛みが分かるようになった

本人
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あなたは人の痛みって分かりますか?

普段は看護師として働いている本ブログの筆者です。

看護師は「疼痛緩和」や「疼痛コントロール」をしたり、「痛みの観察」をしたりしながら看護を行うことがあります。

「あなたは人の痛みが分かりますか?」

私は自分自身の骨折を機に、以前より痛みを理解できるようになり、看護師としてのスキルにも活かせるようになったのでエピソードを交えて紹介します。

そもそも「痛み」って何?

痛みは誰でも経験する感覚です。痛みはつらいし、嫌な感覚であり、出来れば経験したくない感覚です。痛みは、自身の体が傷害される時に感じる感覚です。

日本ペインクリニック学会

世界疼痛学会によると、痛み(pain)は “An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage” と定義されます。この前半は、組織損傷(tissue damage)に伴う不快な感覚であり、情動体験である(unpleasant sensory and emotional experience)と書かれています。

日本ペインクリニック学会

上記に記載されているように、誰でも経験した事が分かるだろうけど辛くて嫌な感覚です。ポイントは、組織の損傷といった体の異常であることと、感覚の一種だという事です。

つまり、「痛み」は取り除いた方がいいものなんだけど、感覚だから人によって感じ方が大きく異なるんです。

本人
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私は注射で針刺されることに対してほとんど痛いという印象はありません。けど、もの凄く痛がる人も多いですよね。

なら「痛み」ってどう判断するの?

「痛み」の判断をするために、スケールを使用して数値化・見える化します。

  • Visual Analogue Scale(VAS)
  • Numerical Rating Scale(NRS)
  • Face Rating Scale(FRS)
  • Verbal Rating Scale(VRS)
  • 機械を用いた評価

などがあります。

私の勤めてきた病院では、①VAS②NRS③FRSが採用されている所がほとんどです。

VASではアナログ(連続的)で痛みを数値化してもらうので、痛みの増減や程度が細かく視覚化される特徴があります。しかし、指が使えなかったり人によっては曖昧で指標として上手く機能しないことがあります。

NRSでは、①VASを0~10に区切ったもので11段階で評価することができます。つまり、口頭の質問のみで痛みの程度を数値化することが可能です。

FRSでは、0~5段階と段階的には少ないですが、顔の表情から痛みの程度を選ぶので子供やお年寄りでも簡単です。何より、痛みを評価する側のみで痛みの程度を計測(予想)することができます。

⚠数字が小さい(左側)=痛みが小さい/数値が大きい(右側)=痛みが大きい

実際に感じた痛みを看護に活かす

骨折を体験した時、既に看護師をしていました。初めての骨折体験で学んだことを交えて紹介します。

ある日、自転車転倒で鎖骨を骨折した経験

本人
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競輪選手は自電車で転んで鎖骨骨折が多いです。

私は段差で転んだだけですけど。

 ある日の夜中でした。自転車で自宅に向かう途中、段差に引っかかってハンドルをとられてしまい転倒しました。左の肩を強打しました。痛いのはもちろん痛いのですが、我慢しながら立てました。けど、1分もすると人生で味わったことのない種類の痛みに覆われました。

 「熱い」「鈍い痛みだけど鋭い激痛でもある」「我慢しても動かせない」

 すぐに知人に電話し車で超大きな総合病院の夜間救急外来に連れていってもらいました。感じたことは

「診察までが長すぎる」「先に診察してくれ」「救急車呼べば良かった」

学んだこと①
★人は激しい痛みで理性を失ったり、わがままになったりすることがある

 

 転倒後の痛みであることから「骨折」という事は予測できたので、病名に対する不安はありませんでした。けど、とにかく痛みをどうにかしてほしいという願望のみです。受付に行くと、「どうされましたか?」「痛みの程度を0から10で教えてください」と聞かれました。顔面汗だらけで顔色悪く明らかに痛がっているのに…内心癪に障る部分がありますが、受付は必要だし痛みを知る必要はありますもんね。出た!NRSなんて考えなる暇などなく私は言います。

「10、10ですっ!!!」(即答)

 看護師経験をして初めて疼痛スケールで「10」に該当する人に出会いました。(自分です)

学んだこと②
★骨折は最大の痛み(NRS=10)になり得る

 

 レントゲンの結果、予想通り鎖骨骨折でした。診察で手術を勧められることはなく、希望もしなかったので鎮痛剤処方と鎖骨を固定する「クラビクルバンド」のみ頂いて帰宅です。

 クラビクルバンドを約3か月着けっぱなしの生活の始まりです。帰宅後も痛みは消えません。骨が完全にぽっきりと折れていたので、以前に体験した捻挫とは違い、数センチ肩や腕を動かしただけで激痛が走りました。つまり、お風呂も着替えも不可能でした。そして、まともに睡眠ができないまま、朝に更なる衝撃の事件が起きました。

 「手が痺れる」「鍵爪・鷲手になってる」

 寝てないつもりだったけど少しは寝てたようです。その間全く腕を動かせませんでした。その結果、尺骨神経を持続的に圧迫したのか自分の手を見ると「鷲手」に変形していました。衝撃です。

学んだこと③
★骨折による体動困難に伴う麻痺には要注意

  

 鎖骨骨折によるクラビクルバンド生活の不便は他にも現れました。

「上着着れない」「パンツ履くのもやっとのこと」「歯磨き難しい」「ベルト締められない」「運転できない」

 骨折急性期で痛みが最大限の時、数センチの体動で痛みが増強します。イメージとしてNRSが⑩から⑮になるイメージです。(本当は⑩まで)四肢のうち1つが使えないだけで、当たり前にしてきた生活が全く送れなくなりました。

本人
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生活で不便だったことは、冗談抜きで細かく挙げれば100個以上あります。

学んだこと④
★(骨折など)四肢が使えないと当たり前の生活ができない 。不便で苦痛しかない

 

 3週間程すれば安静にしておけば痛みは少しずつ軽減していきました。しかし、クラビクルバンドの不便な生活は続いています。1か月もすれば、最低限負担のかからないように気をつけながら外出するようになりました。悲劇はまた訪れました。

「痛い!!!肩甲骨が痛すぎる…」

 何故か、骨折した部位とは違う所に激痛が走ります。予測ですが、常にバンドで固定されているので背中の筋肉はカチカチです。腕をあまり動かさないように庇った結果、背中に負担がいったようで肩甲骨周囲を思い切りつりました。その後、ふとした瞬間に肩甲骨にNRS10の痛みが現れるようになったんです。

学んだこと④
★主病の急性期でなく2次的なものでも最大限の痛みを感じる

 

 結局、約3か月間バンドをした生活でした。後遺症は今でもあります。年に10回ほど、横を向いて寝ていると「ピキッ」とした痛みを一瞬感じることがあります。鎖骨が一部2重に重なったように太くなり長さは数センチ短くなりました。女性であれば特に気になる事でしょう。

学んだこと⑥
★骨折での制限や後遺症は詳しく説明してもらいたい。手術のメリットやデメリットも十分に説明しなければならない。

 

 学びもありながら長い療養期間は終わりました。

骨折などの痛みに共感し寄り添えるようになった

本人
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NRSは数値化されてしまうけど、患者は数字じゃなくリアルな痛みを感じているんだよね

私は最大限の痛み(NRS10)を感じた経験から、痛みの評価に敏感です。NRS7と8は、たったの1違いですが大きな違いです。その1つの差で不安度や生活の質、睡眠などなど大きく異なってきます。

20代前半は最大限の痛みが「捻挫」「日常的な腹痛」「足の小指を角にぶつける」程度だったので、痛みを知れたのは大きな変化です。

その結果

  • 痛みの程度から看護に活かす
  • 痛みに共感した声掛けや援助を行う
  • 寄り添った態度が信頼関係を築く

などの看護師としての成長に繋がりました。

まとめ|患者に寄り添う事

本人
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「患者に寄り添う」という広義の意味の一つを理解した体験だった気がします

「患者に寄り添う」という言葉をよく耳しますが、物理的な距離感から心の距離感、また寄り添う程度などと一概には言えない言葉だと思います。

今回、骨折の実体験から痛みの程度に関しては、患者の痛みの程度を想像できるという点で寄り添うことを知れたと思います。

看護師は、病気や痛みなどといった苦痛や不安を持って人との関りのため、看護者の体験談は大きく関係するものだと体感しました。仮に、体験したことがないことであっても、今までの看護体験を活かして寄り添おうとすることが重要だと思います。

痛みを感じる人と関わる際に、役立ててもらえたら嬉しいです。




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